(1)孤立したナノ粒子の微視的構造を評価するための技術開発
直径が数ナノから数十ナノメートルのいわゆるナノ粒子はここ十数年の間に急速に注目を浴びるようになった。それは、こうしたナノ粒子は対応するバルク材料に比べて著しく異なる構造や性質を示すと共に、最近の微細加工技術の著しい進歩によって、ナノメートルサイズの粒子を容易に扱うことができるようになった背景による。本研究では、基礎、応用両面で純物質と同程度もしくはそれ以上に重要な合金ナノ粒子を対象として、その微視的な構造を温度(T)、サイズ(D)及び組成(C)の三つの実験パラメータの関数として調べるための技術開発とその応用を行う。

(2)結晶中に格子間原子流束場を形成するための技術開発
一般に、高エネルギー粒子を材料に照射すると、primary欠陥としては空孔と格子間原子が同数導入される。それらは、結晶中を移動する間に、格子欠陥反応によってより大きな2次欠陥へと発達する。しかしこれまで、予め結晶中に存在する格子欠陥に対して自由に移動する自己格子間原子がどのように関与し、また影響を及ぼすのかを検討した研究は極めて少ない。このような観点から、本研究では、格子間原子の果たす役割を抽出するために、超高圧電子顕微鏡を用いて、MICI≫MVCVとなる場、すなわち格子間原子流束場を結晶中に形成する。そのための技術開発と応用を行う。
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