研究提案課題(平成16年度研究計画)
 研究提案者
 (氏名、所属、職)
辻 伸泰
知能・機能創成工学専攻・助教授
 研究提案課題   超微細結晶粒オーステナイトのマルテンサイト変態
 研究目的  

本研究の目的は、強ひずみ加工により創製された超微細粒オーステナイトのマルテンサイト変態挙動を明らかにすることである。提案者らが考案したARBなどの強ひずみ加工法により、金属材料の結晶粒径を1μm以下にまで超微細化することが可能となっている。超微細粒材料・ナノ結晶材料は、単位体積中に含まれる粒界の割合が非常に多く、そのことが材料の特性を大きく左右する。またこうした高い粒界密度は、超微細粒組織を有する母相からの相変態・析出に大きな影響を与え、超微細粒母相は従来知られていない相変態・析出挙動を示す可能性が高い。しかるに、歴史の浅い超微細粒材研究分野においては、依然として多くの研究は、いかにして超微細粒組織を得るかと、超微細粒材の特性を明らかにすることにとどまっている。本研究はこうした状況下、超微細粒組織からの相変態挙動を他に先駆け明らかにしようとするものである。その第一歩として、相変態を低温で起こすことができ、また現象論などの理論的背景が明確なマルテンサイト変態を題材として取り上げ、超微細粒オーステナイトからのマルテンサイト変態について、変態温度や生じるマルテンサイトの形態など組織・結晶学的特徴、さらには生じるマルテンサイトの力学特性を明らかにする。

 研究概要   マルテンサイト変態開始点(Ms点)が室温以下となる組成のFe-Ni合金を試料として用いる。この合金に、500°C程度の温間域でのARBによる強ひずみ加工を施し、粒径100nmレベルの超微細組織を得る。超微細粒Fe-Ni合金に対してサブゼロ処理を行い、マルテンサイト変態を生じさせる。連続的に温度を下げることのできる電気抵抗測定装置を作製し、Ms点に及ぼす結晶粒超微細化の影響を明らかにする。得られるマルテンサイトの組織と結晶学的特徴を、TEM観察およびSEM/EBSP測定により明らかにする。また、マルテンサイト材の機械的性質を引張試験により明らかにする。これらの結果を、通常の粗大粒径を有するオーステナイトから生じるマルテンサイトの場合と比較し、母相の結晶粒超微細化の影響を明らかにする。
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研究提案課題(平成15年度研究計画)
 研究提案者
 (氏名、所属、職)
辻 伸泰
知能・機能創成工学専攻・助教授
 研究提案課題   構造用金属材料の強ひずみ加工に伴う超微細組織の
発達過程の解明
 研究目的  

相当ひずみ4以上の強ひずみ加工により、平均結晶粒径1μm以下の超微細粒組織が形成されることが明らかとなっている。また、鉄鋼材料の場合には比較的低温での大圧下後の相変態を含む加工熱処理により、やはり超微細粒組織が得られる。このように大加工・強ひずみ加工は、組織超微細化によるバルク構造用金属材料の先進材料化における最も重要なプロセスである。しかるに、金属材料の強ひずみ加工に伴う組織の発達過程は十分明らかにされていない。本研究は、研究提案者が開発した強ひずみ加工法であるARB(Accumulative Roll-Bonding;繰り返し重ね接合圧延)により種々の構造用金属材料を強ひずみ加工し、それに伴う超微細組織の発達過程を組織学的・結晶学的に定量的に明らかにするとともに、そうした組織パラメーターと材料の機械的性質との相関性を明らかにすることを目的とする。

 研究概要   試料として、フェライト単相鋼である極低炭素IF鋼、オーステナイト単相鋼である36Ni鋼、積層欠陥エネルギーの異なるFCC 金属であるアルミニウムおよび銅を用いる。これらの材料に対してARB法により最大8程度の相当ひずみまでの強ひずみ加工を行う。低ひずみから超強ひずみまでの種々のひずみ量の塑性変形を受けた試料に対し、FE-SEM/EBSP法およびTEM/Kikuchi線法による詳細な結晶学的解析と、組織観察を行う。この際、塑性変形により導入されるdeformation boundary組織のサイズ、方位差、バウンダリーの性格などを定量的に測定する。一方、種々のひずみを与えられた材料、およびその焼鈍材に対して、室温引張試験、疲労試験、微小衝撃試験などを行い、機械的性質を系統的に明らかにする。得られた機械的性質と、先に測定した組織パラメーターとの相関性を明らかにし、超微細組織制御の指針を得る。
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研究提案課題(平成14年度研究計画)
 研究提案者
 (氏名、所属、職)
  辻 伸泰
知能・機能創成工学専攻・助教授
 研究提案課題   強ひずみ加工プロセスを利用した超微細粒
組織先進構造材料の創製
 研究概要  

ナノメートルスケールの平均粒径の超微細結晶粒組織を有する構造用金属材料(ナノメタル)を、提案者が大阪大学で独自に開発した強ひずみ加工プロセスによって創製し、力学特性をはじめとする諸特性を解明する。結晶粒超微細化によれば、従来粒径材の2〜3倍の強度を有する構造部材が合金元素の添加無しで得られ、輸送機器等の大幅な軽量化や長寿命化をもたらすだけでなく、リサイクル性にも優れた画期的な先進構造材料が生まれる。

(1)バルクナノメタルの創製:種々の鉄鋼材料、Al合金、Cu合金、
(1)Ti合金などを対象とし、提案者が独自に開発した強ひずみ
(1)加工プロセス(ARB(Accumulative Roll-Bonding)法、
(1)マルテンサイト法、表層強ひずみ加工法)によってナノ
(1)結晶化を達成する。得られた材料の組織および結晶学的
(1)特徴をナノスケールで解析するとともに、その力学特性
(1)ならびにその他の機能的特性を調査し、組織と特性の
(1)相関性および特性の発現機構を解明して、最適構造化を
(1)目指す。

(2)表層ナノメタルの創製:表層のみをナノメタル化した表層ナノ
(2)メタルを創製する。表層ナノメタル化によって、疲労亀裂発生
(2)の抑制、高耐腐食性、表面機能化皮膜形成、強度・延性
(2)バランスの両立といった高機能化を追求する。

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