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 私達は、物質(matter)が有する様々なスケールでの構造(structure)と特性(property)の関係を解明し、構造を制御(control)することで、役立つ性能(performance)を発揮する材料(material)と、その創製プロセス(process)を、環境負荷に配慮して、設計・創製するための研究を、計算機シミュレーションと実験を融合して行っています。  さらに、プロセスと構造、構造と特性、特性と性能、の間にある関係を、多量のデータから導き出し、それに基づいて、所望の性能を発現する材料を設計し、その製造プロセスの最適化を行う、いわゆる人工知能を活用したデータ駆動型の材料プロセスの設計も目指しています。  現在は、主に3Dプリンターや積層造形と呼ばれる付加製造(Additive Manufacturing: AM)プロセスにおいて発現する特殊環境での金属の凝固現象に注目して、プロセスの最適化による結晶配向やサイズを制御して形状だけでなく材料特性をも制御しながら所望の形状を得るための研究を進めています。  それ以外にも原子の規則配列や相分離の制御のための熱処理条件を計算機シミュレーションに基づいて最適化するための研究や、リサイクルや資源の有効活用による持続可能な開発に貢献するための研究も展開しています。

小泉 雄一郎 教授 略歴

  • 1995年 3月 大阪大学 工学部 材料物性工学科 卒業
  • 1997年 3月 大阪大学大学院 工学研究科 材料物性工学専攻博士前期課程 修了
  • 1999年 9月 大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル科学専攻博士後期課程 修了(期間短縮)
  • 1999年10月 大阪大学大学院 工学研究科 知能・機能創成工学専攻 助手(2007年より助教)
  • 2007年 3月 米国マサチューセッツ工科大学客員研究員(2008年3月まで)
  • 2010年 4月 東北大学金属材料研究所 加工プロセス工学研究部門 准教授
  • 2018年 1月 大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授

 当研究室は、平成30年(2018年)1月1日に発足した新しい研究室です。領域名は、それまでの反応プロセス工学領域から、材料設計・プロセス工学領域に改称されました。
 1968年に近江宗一教授が冶金設備工学の研究室として設立され、1989年に森田善一郎教授により反応制御工学講座として継承され、1995年に碓井建夫教授により継承された後、大学院重点化による改組に伴って材料エネルギー理工学講座・反応プロセス工学領域となり2011年に竹内榮一教授により継承されてきた研究室を、受け継いで2018年から材料設計・プロセス工学領域として新たにスタートしました。
 3Dプリンター(付加製造,Additive Manufacturing: AM)を中心としたレーザーや電子ビームを用いた先進プロセスとそれらのその場観察、モニタリングなどの実験研究、フェーズフィールド法、分子動力学法、第一原理計算、熱流体力学計算、有限要素法を用いたシミュレーションやデータ科学の機械学習の活用に象徴される計算研究を融合して、先進的なものづくり技術の発展と持続可能社会の確立に、冶金学、相変態論、結晶塑性、粉末冶金、輸送現象、溶融凝固等を用いた材料工学の立場から貢献することを目指しています。扱っている具体的な材料としては、発電用ガスタービンやジェットエンジンに用いられるNi基超合金などの耐熱材料、Fe基制振構造用超弾性材料、磁石材料、Al2O3、機能性セラミックス、航空機・自動車・鉄道などの輸送機器のための軽量構造材料、衝撃吸収用エラストマーな樹脂材料を用いたメタマテリアルなどが挙げられます。特に、メタマテリアルの設計では、これまでの結晶性材料の研究で培ってきた結晶学、結晶塑性、相転移に関する知見を活かした、原子模倣(Atomi-Mimetics)という独自のコンセプトによる設計に挑戦しています。これは、その物質が元来有さない特性を、3Dプリントによって人為的に制御可能となったミリメートル・サブミリメートルレベルの構造を、原子や結晶が発現するナノメートル・サブナノメートルレベルの構造やその転移挙動を模倣して発現させることで、特定の希少な元素が必要であった材料特性を、ありふれた元素で発現させることを可能にし、持続可能な社会の構築に貢献します。さらには、これまでどのような元素を用いても実現できなかった機能を有する材料を産み出します。これにより、カーボンニュートラルによる地球環境の維持、超高齢社会におけるロボットとの共生、日々の安全性の向上、自然災害の軽減などに貢献し社会に役立つ材料の設計とそれを実現するプロセスの開発を進めます。

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