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研究内容

中野研究室の研究提案課題「骨微細構造から学ぶ骨生体材料学の構築と骨配向化制御(研究代表者:中野貴由)」が最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択されました。研究期間は2011年2月10日~2014年3月31日まで、研究費総額1億5860万円(間接経費3660万円含む)です。研究室一同、身を引き締めて研究活動にあたるとともに、国民の皆様に対して積極的に成果を情報発信していきます。

※ 最先端・次世代研究開発支援プログラムは、将来、世界をリードすることが期待される潜在的可能性を持った研究者に対する研究支援制度であり、「新成長戦略(基本方針)」(2009年12月30日閣議決定)において揚げられた政策的・社会的意義が特に高い先端的研究開発を支援することにより、中長期的な我が国の科学・技術の発展を図るとともに、我が国の持続的な成長と政策的・社会的課題の解決に貢献することを目的とします。(日本学術振興会HPより)

研究代表者紹介 中野貴由(大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授)

材料工学研究で培った経験を活かし、医歯工での学理融合の観点から生命科学分野への貢献を目的として、生体材料学領域での研究を推進しています。 これまでの研究における一貫したキーワードは「異方性(配向性)」であり、「必要な方向に必要なだけの特性を引き出すための材料機能の発現、機構解明、さらには異方性を発揮する新材料の開発」を行っています。

研究内容

自然界の生み出す材料の大半は異方性材料であり、本研究プロジェクトの対象である骨組織もその典型例です。
我々は、従来の骨密度に代わる新しい骨評価・骨質診断の指標として「アパタイト配向性(異方性微細構造)」の重要性を配向性の骨部位依存性や疾患・再生骨から見出してきました。こうした知見に基づき、配向性指標を用いた骨質診断や治療法の確立といった「骨質医療」への展開を目指しています。
骨は部位に応じた異方性を示すことで、初めて正常な力学機能を発揮しますが、現状、最先端の骨再生手法を駆使しても、正常な骨異方性(配向性)は再現できません。

そこで本研究プロジェクトは、
(1) 生物生体組織学的視点:生体内での骨配向化機構の解明とそれに基づく骨配向化制御
(2) 人工生体組織学的視点:骨組織の機能を人為的に模擬した骨配向化制御
という全く異なる両サイドからの切り口により、基礎から出口まで見据えた骨配向化制御のための新規概念・新技術を創出することを目的としています。

具体的には、「生物生体組織学的視点」から「人工生体組織学的視点」の順に、「骨発生学」→「骨組織評価学」→「骨再生材料学」→「骨インプラント設計・材料学」→「ヒューマノイド・ロボット骨格材料学」といった新たな学理を生み出し、さらに統合的に理解することで、「骨生体材料学」ともいうべき新たな学問体系を構築し、骨配向化制御を実現させます。

骨密度から骨配向化へと視点を変えた試みは、超高齢化社会における難題である骨粗鬆症をはじめとする骨疾患の発生機序の解明や治療薬の開発、患者への負担の少ない低侵襲骨診断へとつながります。さらに骨密度医療に対応してきた骨生体材料・インプラント自体の設計指針を根底から覆す可能性を持つ「骨ライフ・イノベーション」ともいうべき重要な研究テーマです。

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