学生・若手の活動報告

ミーティング参加報告

第2回HOPEミーティング参加報告
大阪大学・工・マテリアル生産科学専攻 溝尻瑞枝

1.はじめに
グローバルCOEプログラム「構造・機能先進材料デザイン教育研究拠点」の推薦をいただき、平成21年9月27日から平成21年10月1日に開催された「第2回HOPEミーティング((独)日本学術振興会主催)」に参加した。ここに会議内容と参加後の感想等について報告する。

2. HOPEミーティングの概要
本会議は、「将来のアジア太平洋地域の科学技術を担う若手研究者の感性を養い、これからの新しい時代を切り拓くリーダーを育てるために(HPより抜粋)」開催された。参加者はアジア太平洋地域に学ぶ博士後期課程の学生、計104名(そのうち日本人40名、海外からの参加者は64名)である。会議では主に、1.ノーベル賞受賞者を含む先生方による講演、2.参加学生によるポスター発表、3.ノーベル賞受賞者を囲んだ20名程のグループでのディスカッション、4.7-8名からなる小グループで科学に関するテーマについてディスカッションを行い最終的に発表する「グループプレゼンテーション」、5.(独)理化学研究所の見学とプレゼンテーショングループでの東京都内散策を行った。スケジュールとしては、9月27日から30日までは、神奈川県箱根のザ・プリンス箱根で講演やディスカッション、プレゼンテーションを行い、10月1日は、早朝に箱根をバスで発って和光、東京へと移動した。会議HP:http://www.hopemeetings.jp

3. HOPEミーティングの内容と感想
3.1 講演
ノーベル賞受賞者を含む先生方による合計11講演を聴講した。その中で、野依先生や田中先生など化学分野の講演の割合が高かったが、小林先生や江崎先生など物理や、利根川先生の生物系のお話など様々な講演を聞くことができた。研究内容については、英語での専門外の講演であったこともあり、すべてを理解することはできなかったが、部分的には理解できた。特に印象深かったのは、各々の先生方の研究への取り組み方や、経験などであった。例えば、田中先生は、企業に入社して、大学で行ってきた専門外のことを研究することになったが、素人だからこそ失敗を恐れずに取り組めたことが新しい発見につながったという経験をお話された。一つの研究分野だけにとらわれずに、特に若いうちに新しいことに取り組むことの大切さを改めて認識した。また、利根川先生は、ノーベル賞受賞者を多く輩出した研究室で研究された経験から、高い研究レベルの環境で研究することが自分を高めることにつながるというお話をされた。また、Prof. Peter Agre先生(2003年ノーベル化学賞受賞)の講演から世界中多くの研究者と共同研究をすることで一人ではできないことや新しい考え方を得ることができる利点を知ることができた。今後、卒業して独立した研究者として取り組んでいくときに、どのお話も心に留めておくべき大切な知見となった。


グループプレゼンテーションのメンバーと

3.2 ポスター発表
発表と見学がそれぞれ45分ずつと短かったが、できるだけ多くの発表を聞いた。全体的には基礎化学の研究分野の発表が多かった。私はこれまで、応用が明確な研究をしてきたので、「わからないから明らかにする」という興味を目的とした研究というのは私にとっては大変新鮮であった。

3.3 グループディスカッション
グループディスカッションは2回あり、私はProf. Y.T. Lee先生と小林先生のグループディスカッションに参加した。Lee先生は、必要な装置は自分で手作りすることが大切だということをお話しされた。小林先生は、物理に関する質問ならなんでも良いということで、私は加速器関連で自由電子レーザについて質問した。それまでのレーザのイメージは「光の増幅」だったので、加速器で「加速」させる意味が理解できていなかったが教えていただいてよくわかった。また、大型装置の作製には建築など様々な知見が必要だと分かった。

3.4 グループプレゼンテーション
私のグループは日本3人、台湾、中国、マレーシア、オーストラリア各々1人の計7名であった。会議前から、Facebookを使ってプレゼンテーションのテーマや内容についてある程度ディスカッションしていたため、会議中にはまとまった時間が取れなかったがスムーズに発表することができた。テーマは「化学の進歩は地球温暖化にどのように貢献するか」ということで、Green ChemistryやCO2の利用など様々な観点から取り組む必要性を述べた。

4. まとめと今後の展望
ノーベル賞受賞者の先生方の研究経験を伺い、多くのことを学んだ。また、同世代のアジア太平洋の学生とディスカッションを通して、会議後も連絡を取り合う関係を築くことができた。今後もこの関係を大切にしていきたい。

謝辞 本会議への参加にあたり御尽力頂きました先生方に深く感謝いたします。


最終日の修了証授与