学生・若手の活動報告

プロジェクト報告

「若手グローバル・イノベーション人材育成による未来科学技術の開拓ワークショップ」
大阪大学・工・マテリアル生産科学専攻 園村浩介

1.はじめに
グローバルCOE「構造・機能先端材料デザイン教育研究拠点」(大阪大学)の支援をいただき、11月27日−30日に大阪大学サンフランシスコ教育研究センターにて実施された「若手グローバル・イノベーション人材育成による未来科学技術の開拓ワークショップ」に参加した。様々な研究科から選考された12名の博士前期および後期課程の学生が、本ワークショップに参加し、アメリカの研究者の研究環境および文化的背景について学んだ。

2. 大阪大学サンフランシスコ教育研究センターの周辺環境
サンフランシスコは、アメリカ合衆国カリフォルニア州の北部に位置しており、そのベイエリアの南部は、シリコンバレーと呼ばれ、シリコンを主体原料とする集積回路を取り扱うマイクロエレクトロニクス関連産業が集まっている。ベンチャー企業で知られるGoogle、インテル、eBayなどの多くの有名企業があり、今回は研修の一環としてGoogleおよびPARCを訪問した。

3. スケジュール
【初日(27日)】
空港到着後、シャトルバスにて宿泊施設「Vantaggio Turk Street」に移動。その後、オリエンテーションが行われ、サンフランシスコ教育研究センター職員の方と夕食をとった。

【2日目(28日)】
終日、サンフランシスコ教育研究センターでの打合せ。

【3日目(29日)】
午前中は、Canopy Financial Inc.のVikram Kashyap氏が、会社を設立するにあたって心掛けなければならないことについて、講義を行った。また、De Novo GroupのScott McNeil氏は、社会的企業家精神について講義を行った。


大阪大学サンフランシスコ教育研修センターにて
Vikram Kashyapさんの講義の風景

午後からは、三つのグループに分かれ、事前に準備していた自己紹介および自分自身のキャリアデザインについて、メンターの先生とグループ内の参加者の前で、英語で発表を行った。そして、その発表をもとに如何にキャリアをデザインするのか、またそのために実践すべきことは何か、さらに次世代を担う人材としての社会的責任とは何かについて議論した。その後、各グループの代表者が、要点をまとめて全員の前で発表した。その晩は、大阪大学、浅田稔 教授がSan Francisco State University にて、先生の研究テーマであるロボットについて講義を行った。


大阪大学 浅田稔 教授の講演の様子

【4日目(30日)】
午前中は、かつてXEROX Palo Alto Research Center であったPARCを訪問し、営業開発ディレクターのAki Ohashi氏による、研究と事業コンセプトの関係に関する講義を聴いた。その後、Googleを訪問し、研究者の職場を見学した。

午後からは、再び三つのグループに分かれ、メンターの先生およびグループ内のメンバーの前で事前に準備した資料を用いて、自身の研究に基づいた新たな事業コンセプトを発表した。そして、グループ内で最良のものを選考し、メンターの先生のアドバイスのもと、それをbrush upし、グループ内の代表者が全員の前で発表を行った。

4.まとめ
今回のワークショップを通して、アメリカで活躍されている研究者や他の研究科の学生とキャリアデザインについて議論することができ、非常に有益であった。特に重要なことは、本当にやりたいことは何か再考すること、また社会的責任、果たすべき役割は何かを明確にすることだと思った。その考え方に関して、日米間で違いは見られなかった。しかしながら、企業の雇用に関して、大きな違いが見られた。米国企業は、新たな事業プロジェクトが始まれば、そのプロジェクトに関わる研究者を集い、年齢に関わらず能力があれば多額の給料を支払う。また、研究者は多額の給料を受け取ることができるが、プロジェクトが終わればすぐに、職を失い求職しなければならない。より高い目標を達成するには、アメリカの研究者のように危機感と自信が必要だと感じた。

謝辞
今回、出張旅費を支援頂きました研究拠点形成費補助金グローバルCOE プログラム「構造・機能先進材料デザイン教育研究拠点」(大阪大学)に感謝申し上げます。