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アムステルダム大学滞在報告

プロジェクト報告 構造・機能先進材料デザイン教育研究拠点

アムステルダム大学滞在報告
大阪大学・工・マテリアル生産科学専攻 辻尭宏、李東建

1. はじめに
グローバルCOE「構造・機能先端材料デザイン教育研究拠点」(大阪大学)の支援をいただき,9月18日−10月9日の間、オランダ・アムステルダム大学での在外研究を行った。今回はVan der Waals-Zeeman研究所のオプトエレクトロニクスグループ(Prof. Tom Gregorkiewicz)において、Gregorkiewicz先生やグループメンバーの下、希土類添加ワイドギャップ半導体の光学特性評価に取り組んだ。以下には、滞在中の生活や研究の様子、また得られた経験と感想についてまとめた。

2. アムステルダム、アムステルダム大学
アムステルダムはオランダ・北ホランド州南部アムステル川河口に位置し、オランダの首都である。17世紀に世界初の株式会社・東インド会社の本拠地が置かれ、当時世界一の港町であったアムステルダムは、様々な文化が集まり受け入れてきた、自由で合理的な町である。アムステルダムの町は、海沿いの中央駅を中心に、半円を描くように運河が走っており、歴史的な建物や伝統的な街並みを有した美しい街である。アムステルダム大学は、1632年に設立されAthenaeum Illustreを起源とし、二人のノーベル賞受賞学者を輩出した歴史のある総合大学である。アムステルダムの歴史が表すように、アムステルダム大学では、40以上もの国から学生や研究スタッフが集まってきており、英語が当たり前のように飛び交っていた。

3. オランダでの生活、研究
アムステルダムでは、数人部屋のドミトリーに宿泊した。滞在中は日本人を含めた様々な国の人々とふれあうことで、有意義な時間を過ごすことができた。
オプトエレクトロニクスグループでは、希土類添加半導体の光学特性評価について研究しており、我々も施設を借り研究に取り組んだ。グループには技師1人、ポスドク2人、博士課程5人、修士課程2人が在籍し半数が女性であり、日本と比べて構成が大きく異なっていた。大学での過ごし方にも違いがある。10時頃に研究室に人が集まりだすと、コミュニティースペースに移動し、ティータイムが始まる。そこでは先生も交えて、日常会話や研究の進捗状況、その日の予定などについて話し合う。他のグループでも同様にティータイムがあり、一緒に混ざることもあった。実験を行う場合は、その後に準備をし、ほぼ全員で昼食をとる。食堂での食事は大半がサンドイッチで、食堂で購入するか、持参したパンやハム、クロケット、などでサンドイッチを作り食べた。その午後から実際に研究活動に入る。我々は、低温から室温にかけて発光寿命測定を行った。普段、我々の研究室では行えない測定も今回は可能であり、有意義な実験を行うことができた。我々が当グループを訪問した際、複数名が学術論文の準備を行っていた。その時のやり取りとして、先生と1日中論文で提示したモデルについて議論を行っていた。その際、生徒側も自分の意見を曲げることなく、自分の研究に対して自信と責任感を持っていることが、大いに感じられた。アムステルダム大学全体で言えることとして、18時ごろには実験や作業を終え、帰宅していた。20時には強制的に室内の電気が消灯されるため、時間の使い方において、日本との大きな違いに驚かされた。最終日にはグループミーティングに参加させてもらい、研究内容について議論し、貴重な意見や新たな指針を得ることができた。

4. まとめ
今回のアムステルダム滞在によって、新たな実験結果や意見、そして多くの貴重な体験をすることができたと共に、多くのことを考えさせられた。自ら動き、会話により自分の考えを積極的に披露することが重要であり、また自分の考えには自信を持っており、学ぶところが多くあった。当然会話はどこに行っても英語であり、英語の必要性を改めて感じた。そして時間の使い方にも大変考えさせられた。我々が、日本では夜まで研究室に残っていることが多いのに対し、夜までにはその日の作業を終え、その後プライベートの時間を楽しみながらも、しっかりと世界に認められる研究成果を出していた。自分が何を目的としており、何をすべきなのか熟考し、周りと意見交換を納得いくまで行うことにより、効率よく、意味のある一日を過ごしているように思えた。今回の貴重な経験や、そこから感じた事を、今後の研究生活等に活かせるようにしたい。

謝辞
今回、出張旅費を支援頂きました研究拠点形成費補助金グローバルCOE プログラム「構造・機能先進材料デザイン教育研究拠点」(大阪大学)に深く感謝申し上げます。


グループメンバーと学生宅にて


アムステルダムの風車と運河


実験の様子